「薬をやめたら、症状が悪化しました。やはり飲み続けたほうがいいのでは?」

よく聞かれる質問です。常用してきた薬をやめたのちに、体調が一時的に悪くなることは確かにあります。

理由は2つあると考えられます。

一つは、、薬で症状を抑え込んできたきたために、薬という蓋をとってしまったとき、症状が強く出てしまう

ケースです。ほとんどの薬は病気を治すものではなく、症状を抑えるものです。たとえば、薬剤師が高血圧症の

患者さんに血圧を下げるための降圧剤をお渡しする際、

「血圧のお薬は一生のおつきあいですよ。血圧を抑え続けるために必要なお薬ですから、勝手にやめないでくださいね」

とお話しします。高血圧症だけでなく生活習慣病などの慢性疾患を患っている方ならば、「一生のおつきあい」というセリフを一度は聞いたことがあるでしょう。

薬に病気を治す力があるのだとしたら、一定期間、服用すれば薬は必要なくなるはず。薬と一生おつきあいになるのは、薬には症状を「抑える」作用はあるけれども、「治す」力はないためです。

わたしは薬の最大の弊害は「症状を抑える作用」にあるのではないか、と考えています。

薬を飲めば、検査の数値は正常の範囲に近づきますし、不快な症状もやわらぎます。

病気が治ったような気持ちになるでしょう。しかし、症状が出るには原因があります。原因をとり除かずに

薬をやめれば、再び同じ症状に襲われるのは当然の現実です。

病気を治すのは身体に備わった自然治癒力であり、免疫力、これらを満足に働かせるには、生活習慣や食事を改め、適度な運動をするしかありません。

もしもこの世に薬がなければ、人は自力で病気を治そうと生活を律するはず。ところが、薬という便利なものがあるために、生活を変えるよりも、薬で簡単に症状にふたをすることを選んでしまうのです。

便利なものほど危険が潜んでいるものです。毎日1錠飲んで血圧が下がればこれほど便利なことはありません。しかし薬を飲み続けている限り、副作用の心配もなくなりません。

しかも、身体の声にしたがって自ら病気を治すチャンスも逸してしまうのです。

 

薬の長期使用は、身体の自助努力を失わせる

薬をやめたときに症状が強く現れやすいもう一つの理由には、「薬のせいで身体が怠けてしまうこと」があります。

たとえば強い炎症が生じているとき、医療機関を受診するとステロイド薬が処方されることがあります。

ステロイドは副腎という臓器から分泌される副腎皮質ホルモンの一つで、炎症を抑えたり、免疫力を抑制したりする作用を持ちます。このステロイドホルモンの働きをまねて、化学的に製造されたのが「ステロイド薬」です。

もともと、ステロイドホルモンは必要に応じて、体内に分泌されているのですが、薬として外から継続的に投与されてしまうと、副腎からの分泌量が減ってしまいます。

身体では、「恒常性」といって内部環境を一定の状態に保ち続けようとする力が働いています。外から症状を抑える薬が入ってくると、身体は自ら悪い状態を正そうとせずとも、恒常性を保ててしまいます。その状態が続けば、身体は薬の力に頼る事に慣れ、怠けるようになります。「外から薬が入ってくるなら、私はがんばらなくてもいいよね」ということになるのです。

そうした状態で薬の使用をやめれば、身体は突然の出来事に対応できず、症状が強く現れてしまいます。こうした現象は、どんな薬であっても常用している限り現れるものです。

 

薬剤師、栄養学博士  宇多川 久美子 著 その「1錠」が脳をダメにする より抜粋

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